2016.07.19
皆さん、こんにちは。不妊症看護認定看護師の髙橋恵美子です。
来る9月11日(日)、星陵オーディトリアムにおいて「第14回日本生殖看護学会学術集会」を開催しますので、今回はその紹介をさせていただきます。
本学術集会を東北地方で開催するのは今回が初めてです。さらに、東日本大震災から丸5年の節目の年に宮城県で開催するということもあり、学術集会メインテーマに「東日本大震災から5年、被災地から発信する生殖看護」を掲げ、サブテーマを「みんなで始めよう!自然災害への備え」として現在 学術集会開催準備を進めています。
皆さんもご存じのとおり東日本大震災から5年経ったとはいえ、十分に復興がなされたとは言い難い現実があり、未だに不自由な生活を強いられている方々もいらっしゃいます。震災による精神的ダメージが大き過ぎたことで今でもフラッシュバックや不安感にさいなまれ、日常生活をうまく送れないという方もいます。不妊治療は受ければ必ず妊娠できるというものではなく、精神的・身体的負担が大きい治療です。私費診療のため高額な医療費もかかります。それでもなお、震災を経験したことで命の連鎖に加わりたいと希求され、治療への取り組みを強化された方も多くいます。今年4月の熊本地震でも大きな被害がもたらされたように日本各地で様々な自然災害が起こっており、誰もが同様の経験をする可能性があります。
そこで本学術集会では、甚大な自然災害に際して生殖看護に携わる私たちは何をすべきか、東日本大震災における経験や教訓を共有し、皆さんとともに考えていく機会となるよう企画しています。基調講演では、スズキ記念病院理事長の星和彦先生に「東日本大震災が岩手県・宮城県・福島県の生殖医療に与えた影響」と題してご講演いただきます。シンポジウムでは「東日本大震災の経験を通して考える、これからの自然災害への備え」と題して、医師・胚培養士・看護師・不妊カウンセラー それぞれの立場からご発言を頂き、討論を深める予定です。
少しでも興味をお持ちになられた方は是非、本学術集会にご参加下さい。参加事前登録は8月19日(金)までとなっております。詳しい情報は、第14回日本生殖看護学会学術集会HP http://www.jsfn14.com/ をご覧ください。どうぞよろしくお願いいたします。
次回は救急看護認定看護師の設楽恵子さんです。お楽しみに!
2016.07.04
皆さん、こんにちは。救急看護認定看護師の安彦です。このブログを書かせて頂くのは2回目になります。前回はトリアージのことについて書きました。今回はどんな内容にしようかといろいろ悩みましたが、やっぱり“救急っぽい”ことがいいと思うので、RRS(Rapid Response System)について書きます。
RRSとは2005年に海外で提唱された概念で、患者に起きる状態変化を早期に発見して急変を未然に防ぐための対応システムです。RRSにはMET(Medical Emergency Team)やRRT(Rapid Response Team)という医療チームがあり、集中治療や救急の医師、看護師が要請のあった部署に出向き、処置や検査、ICU入室の評価などを行います。このシステムは我々の病院ではまだ導入されていませんが、日本でも多くの病院施設で導入されてきています。
今ある院内救急対応システムと何が違うのか?それは急変していなくても呼べることです。米国のある研究では、1992年~2005年で院内の心停止後の生存率が改善していなかったとの報告がります。これだけBLSやALSの概念が普及してきたにもかかわらずです。心停止に至ってから頑張っても予後は悪いし、BLSをいくら頑張っても心停止になる人を減らせるわけではありません。つまり、心停止をさせないことに焦点を当てることが重要なのです。ある研究では、「心停止した患者の70%は、心停止前の 8 時間以内に呼吸器症状の増悪所見を呈している。」ことや、「患者の66%が心停止前の6 時間以内に異常症状や徴候の所見を呈しているが、医療者は25%しか認識していない。」ともいわれています。心停止の原因は多々あれど、左冠動脈主幹部の完全閉塞やVfでもない限り、いきなり心停止することはそう多くありません。それなら、異常を認めたときに適切な処置をして心停止させないようにしましょうというのがこのシステムなのです。
事実、病棟や外来に限らず、看護師が心停止に至る数時間前には異常に気付いているケースが多くありませんか?気付いているのにそれをうまく医師や他のスタッフに伝えられなかったりすることもありますよね。何かおかしいけど、医師は別のところで処置中だし、先輩にも様子見ていいって言われたし・・・。そうこうしているうちに心停止に至ってしまうかもしれない!!こんな時に登場するのがMETやRRTです。急変していないのに呼ぶことに対して消極的になってしまう方もいるかも知れませんが、先にも説明したように「急変する前に対応する」ことが重要なのです。それに、これらのチームを呼ぶための明確なクライテリアが決められているので、心配いりません。あれこれ思いを馳せるよりも、クライテリアに引っかかったら呼ぶ、呼んで対応した結果患者さんに何もなかったら、それはそれでいいのです。その方がみんな幸せになります。
我々の病院では導入されていないシステムですが、急変を未然に防ぐことは重要ですし、そのためには異常に気付く観察力や判断力がもとめられます。私は過去に患者さんの急変に遭遇し、非常に痛い思いをしたことがあります。今でもトラウマです。皆さんには私と同じような思いはしてほしくないのです。私がやる院内の研修では、RRSの要素も取り入れてやっていきますので、今後ともよろしくお願いします。
次回は、不妊症看護認定看護師の高橋恵美子さんです。お楽しみに!!
2016.07.01
6月27日(月)に研修【056】「こんなときどうする?新人看護師のお悩み相談」が艮陵会館記念ホールで行われました。
色々なことを覚えなければならないこの時期、新人さんたちの悩みは尽きません。この研修は日頃の悩みを他部署の仲間達と共有し、自分なりの対処法を見つけ出す場であります。さらに、今年度は新しい試みとして「類人猿分類」を使用し、「ゴリラ」「チンパンジー」「ボノボ」「オランウータン」の4タイプに自分の性格をあてはめて、タイプ別に悩みや対処法の違いを比べてみたりしました。グループワークでは和気藹々とした雰囲気でお互いの悩みを共有し、新たな対処法を発見したりと、新人さんたちは有意義な時間を過ごせたのではないでしょうか。
suzuki
2016.06.20
夏直前。納涼会の日程もそろそろ決まる頃ですね。みなさん体調管理は万全ですか?こんにちは。急性・重症患者看護専門看護師の井上昌子です。
6月4・5日は、第12回日本クリティカルケア看護学会学術集会に、6月11日は、第3回日本CNS看護学会に参加してきました。
今回のクリティカルケア看護学会では、青森・山形・宮城の急性・重症患者看護専門看護師の4人で、『東北地方におけるクリティカルケア看護 -急性・重症患者看護専門看護師の役割から考える-』という交流集会を企画し発表してきました。お互いの現状を踏まえ、今後、超高齢化社会の最先端をいく東北地方において、私たちができる事は何なのか・・・という前提から、事例を通してディスカッションすることで共通の課題もみつかり大変充実した時間を過ごす事ができました。学会参加は、その土地のおいしいお酒や食事が楽しめる事も十分に魅力的ですが、やはり普段会えない先生方や遠くで働いている先輩方と話すことで、さらなるパワーをもらえる事が一番の楽しみでもあります。学会に参加することで、まだまだ頑張ろうと思えるのです。
また次の週のCNS学会では、多分野の専門看護師のセッションを聞きました。同じテーマでもそれぞれの分野の専門看護師の活動に違いがあり大変興味深く、また看護は奥深いと感じました。実は、私が専門看護師を目指したのは、看護学生の時にがん看護専門看護師の講演を聴いたことがきっかけでした。看護の力で辛い状況の患者さんや家族がこんなに笑顔になれたり、元気になれたりする時間があるのだと知り、そんな事ができる専門看護師ってすごいなと思いました。学生の頃は、漠然と急性期の専門看護師になりたいと思ったのですが、当時まだ急性期領域の専門看護師はいない時期で、学校の先生に相談したときは、『そのうちできるから、とりあえず5年間働きなさい』と言われたことを昨日のことのように思い出されます。あっという間に時は過ぎ・・・でも思い描いていた看護師にはまだまだなれておらず、日々精進の毎日です。
来月、7月9日には、当院認定・専門看護師会主催の「なりたい認定看護師・専門看護師になる」公開講座があります。当日は多くの皆さんとお会いでき、お話できることを楽しみにしています。
2016.06.06
こんにちは。脳卒中リハビリテーション看護認定看護師の古谷桂子です。
脳卒中は冬場に多いというイメージがあるかもしれませんが、脳梗塞は6~8月の夏場に集中して発症するという報告もあります。真夏の多汗による脱水はもちろんですが、梅雨時期の「かくれ脱水」により、熱中症だけでなく脳梗塞を発症することもあります。この時期は水分補給と温度管理に注意したいですね。
さて、前回の看護ブログでは「起きる」ということをお話しました。今回は「食べる」ことについてお話したいと思います。
私が勤務している高度救命救急センターに運ばれてくる患者様の多くは、病気や怪我、治療の過程において、「食べる」ことができなくなってしまうことがあります。私達が当たり前のように毎日行っている「食べる」という行動は、決して単純なものではありません。空腹を感じたり、見て触れて臭いを嗅いで食べ物を美味しそうだ、食べたいと思うことができる機能、すなわち脳神経機能が働かないと始まりません。そして、口に運んで咀嚼して味わい嚥下するという、筋骨格系機能や口腔・嚥下機能が揃っていないとできないことなのです。特に 脳卒中は、摂食嚥下障害原因の約40%を占める と言われています。脳卒中により手足や口腔・舌・喉の麻痺が生じること、意識障害により食物が認識できなかったり、食欲がわかなくなってしまったりするからです。「食べる」ことは生きることです。点滴や経腸栄養で栄養が満たされていれば、「食べる」ことを辞めていいわけではありません。だからこそ、急性期からでも「食べる」ための体づくりやリハビリテーションが重要なのです。救命できたから終わりではなく、その後の生活を見据えた看護も一緒に提供されなければならないと思います。
高度救命救急センターで、ご飯を食べている人なんているの?と、思われる方もいるかもしれませんが、そんなことはありません!早期経腸栄養と併せて、嚥下訓練食~常食まで、患者様の状態にあった食事を摂ってもらいます。久しぶりに水を飲むことができた患者様が「あ~生き返った」と、よくおっしゃいます。私も好きなものを好きなだけ「食べる」ことができることに感謝しつつ、ダイエットと仕事に励みたいと思います(笑)
次回は、急性・重症患者看護専門看護師の井上昌子さんです。どんなお話が聴けるのか楽しみです!
脳梗塞で麻痺のある患者様の食事。 上)Kスプーン
食べやすいようにきざまれており、水分補給の 嚥下障害のある患者様用のスプーン
ゼリーがついている。食器やスプーンも 下)ぺこぱんだ
使いやすい物に変更されている。 舌のトレーニング用具