国立大学法人東北大学 東北大学病院看護部

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かんごぶろぐ

認定・専門看護師リレー㊿救急看護認定看護師 安彦 武さんです

皆さん、こんにちは。救急看護認定看護師の安彦です。このブログを書かせて頂くのは2回目になります。前回はトリアージのことについて書きました。今回はどんな内容にしようかといろいろ悩みましたが、やっぱり“救急っぽい”ことがいいと思うので、RRS(Rapid Response System)について書きます。
 RRSとは2005年に海外で提唱された概念で、患者に起きる状態変化を早期に発見して急変を未然に防ぐための対応システムです。RRSにはMET(Medical Emergency Team)やRRT(Rapid Response Team)という医療チームがあり、集中治療や救急の医師、看護師が要請のあった部署に出向き、処置や検査、ICU入室の評価などを行います。このシステムは我々の病院ではまだ導入されていませんが、日本でも多くの病院施設で導入されてきています。
 今ある院内救急対応システムと何が違うのか?それは急変していなくても呼べることです。米国のある研究では、1992年~2005年で院内の心停止後の生存率が改善していなかったとの報告がります。これだけBLSやALSの概念が普及してきたにもかかわらずです。心停止に至ってから頑張っても予後は悪いし、BLSをいくら頑張っても心停止になる人を減らせるわけではありません。つまり、心停止をさせないことに焦点を当てることが重要なのです。ある研究では、「心停止した患者の70%は、心停止前の 8 時間以内に呼吸器症状の増悪所見を呈している。」ことや、「患者の66%が心停止前の6 時間以内に異常症状や徴候の所見を呈しているが、医療者は25%しか認識していない。」ともいわれています。心停止の原因は多々あれど、左冠動脈主幹部の完全閉塞やVfでもない限り、いきなり心停止することはそう多くありません。それなら、異常を認めたときに適切な処置をして心停止させないようにしましょうというのがこのシステムなのです。
 事実、病棟や外来に限らず、看護師が心停止に至る数時間前には異常に気付いているケースが多くありませんか?気付いているのにそれをうまく医師や他のスタッフに伝えられなかったりすることもありますよね。何かおかしいけど、医師は別のところで処置中だし、先輩にも様子見ていいって言われたし・・・。そうこうしているうちに心停止に至ってしまうかもしれない!!こんな時に登場するのがMETやRRTです。急変していないのに呼ぶことに対して消極的になってしまう方もいるかも知れませんが、先にも説明したように「急変する前に対応する」ことが重要なのです。それに、これらのチームを呼ぶための明確なクライテリアが決められているので、心配いりません。あれこれ思いを馳せるよりも、クライテリアに引っかかったら呼ぶ、呼んで対応した結果患者さんに何もなかったら、それはそれでいいのです。その方がみんな幸せになります。
 我々の病院では導入されていないシステムですが、急変を未然に防ぐことは重要ですし、そのためには異常に気付く観察力や判断力がもとめられます。私は過去に患者さんの急変に遭遇し、非常に痛い思いをしたことがあります。今でもトラウマです。皆さんには私と同じような思いはしてほしくないのです。私がやる院内の研修では、RRSの要素も取り入れてやっていきますので、今後ともよろしくお願いします。
 次回は、不妊症看護認定看護師の高橋恵美子さんです。お楽しみに!!
 

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  • 投稿日:2016.07.04 00:00

認定・専門看護師リレー㊾急性・重症患者看護専門看護師 井上 昌子さんです

夏直前。納涼会の日程もそろそろ決まる頃ですね。みなさん体調管理は万全ですか?こんにちは。急性・重症患者看護専門看護師の井上昌子です。
6月4・5日は、第12回日本クリティカルケア看護学会学術集会に、6月11日は、第3回日本CNS看護学会に参加してきました。
 今回のクリティカルケア看護学会では、青森・山形・宮城の急性・重症患者看護専門看護師の4人で、『東北地方におけるクリティカルケア看護 -急性・重症患者看護専門看護師の役割から考える-』という交流集会を企画し発表してきました。お互いの現状を踏まえ、今後、超高齢化社会の最先端をいく東北地方において、私たちができる事は何なのか・・・という前提から、事例を通してディスカッションすることで共通の課題もみつかり大変充実した時間を過ごす事ができました。学会参加は、その土地のおいしいお酒や食事が楽しめる事も十分に魅力的ですが、やはり普段会えない先生方や遠くで働いている先輩方と話すことで、さらなるパワーをもらえる事が一番の楽しみでもあります。学会に参加することで、まだまだ頑張ろうと思えるのです。
 また次の週のCNS学会では、多分野の専門看護師のセッションを聞きました。同じテーマでもそれぞれの分野の専門看護師の活動に違いがあり大変興味深く、また看護は奥深いと感じました。実は、私が専門看護師を目指したのは、看護学生の時にがん看護専門看護師の講演を聴いたことがきっかけでした。看護の力で辛い状況の患者さんや家族がこんなに笑顔になれたり、元気になれたりする時間があるのだと知り、そんな事ができる専門看護師ってすごいなと思いました。学生の頃は、漠然と急性期の専門看護師になりたいと思ったのですが、当時まだ急性期領域の専門看護師はいない時期で、学校の先生に相談したときは、『そのうちできるから、とりあえず5年間働きなさい』と言われたことを昨日のことのように思い出されます。あっという間に時は過ぎ・・・でも思い描いていた看護師にはまだまだなれておらず、日々精進の毎日です。
来月、7月9日には、当院認定・専門看護師会主催の「なりたい認定看護師・専門看護師になる」公開講座があります。当日は多くの皆さんとお会いでき、お話できることを楽しみにしています。

     

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  • 投稿日:2016.06.20 00:00

認定・専門看護師リレー㊽脳卒中リハビリテーション看護認定看護師 古谷 桂子さん

こんにちは。脳卒中リハビリテーション看護認定看護師の古谷桂子です。
脳卒中は冬場に多いというイメージがあるかもしれませんが、脳梗塞は6~8月の夏場に集中して発症するという報告もあります。真夏の多汗による脱水はもちろんですが、梅雨時期の「かくれ脱水」により、熱中症だけでなく脳梗塞を発症することもあります。この時期は水分補給と温度管理に注意したいですね。
さて、前回の看護ブログでは「起きる」ということをお話しました。今回は「食べる」ことについてお話したいと思います。
私が勤務している高度救命救急センターに運ばれてくる患者様の多くは、病気や怪我、治療の過程において、「食べる」ことができなくなってしまうことがあります。私達が当たり前のように毎日行っている「食べる」という行動は、決して単純なものではありません。空腹を感じたり、見て触れて臭いを嗅いで食べ物を美味しそうだ、食べたいと思うことができる機能、すなわち脳神経機能が働かないと始まりません。そして、口に運んで咀嚼して味わい嚥下するという、筋骨格系機能や口腔・嚥下機能が揃っていないとできないことなのです。特に 脳卒中は、摂食嚥下障害原因の約40%を占める と言われています。脳卒中により手足や口腔・舌・喉の麻痺が生じること、意識障害により食物が認識できなかったり、食欲がわかなくなってしまったりするからです。「食べる」ことは生きることです。点滴や経腸栄養で栄養が満たされていれば、「食べる」ことを辞めていいわけではありません。だからこそ、急性期からでも「食べる」ための体づくりやリハビリテーションが重要なのです。救命できたから終わりではなく、その後の生活を見据えた看護も一緒に提供されなければならないと思います。
高度救命救急センターで、ご飯を食べている人なんているの?と、思われる方もいるかもしれませんが、そんなことはありません!早期経腸栄養と併せて、嚥下訓練食~常食まで、患者様の状態にあった食事を摂ってもらいます。久しぶりに水を飲むことができた患者様が「あ~生き返った」と、よくおっしゃいます。私も好きなものを好きなだけ「食べる」ことができることに感謝しつつ、ダイエットと仕事に励みたいと思います(笑)
 
次回は、急性・重症患者看護専門看護師の井上昌子さんです。どんなお話が聴けるのか楽しみです!

      
脳梗塞で麻痺のある患者様の食事。              上)Kスプーン
食べやすいようにきざまれており、水分補給の           嚥下障害のある患者様用のスプーン
ゼリーがついている。食器やスプーンも            下)ぺこぱんだ
使いやすい物に変更されている。                 舌のトレーニング用具



 

 

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  • 投稿日:2016.06.06 00:00

平成28年度 東北大学病院 認定・専門看護師会主催公開講座を開催します!

平成28年度 東北大学病院 認定・専門看護師会主催公開講座を下記の通り開催します!
 
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テーマ: 「なりたい認定看護師・専門看護師になる」 認定看護師・専門看護師への道
 対 象: 看護学生、看護師
 日 時: 平成28年7月9日(土) 9:30~12:00 (受付開始9:00~)
 場 所: 星陵オーディトリアム
プログラム内容:
  1.認定看護師・専門看護師への道
2.直接きいてみよう! 分野別ブースにみんな集まれ!
参加予定分野:認定看護師15分野 専門看護師4分野
 認定分野:救急看護、集中ケア、小児救急看護、緩和ケア、がん性疼痛看護、がん放射線
療法看護、乳がん看護、感染管理、認知症看護、皮膚排泄ケア、新生児集中ケ
ア、不妊症看護、脳卒中リハビリテーション看護、糖尿病看護、手術看護
 専門分野:急性・重症患者看護、がん看護、小児看護、精神看護
 
 主催:東北大学病院看護部 認定・専門看護師会
 連絡先:看護部 がん放射線療法看護認定看護師 飯沼由紀恵
メールアドレス nintei-nurse@kango.hosp.tohoku.ac.jp
 
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 現在、参加申し込みをE-mailで受け付け中です!!
 当日参加も大歓迎です!
 
たくさんのご参加をお待ちしております!



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  • 投稿日:2016.05.27 00:00

認定・専門看護師リレー㊼がん放射線療法看護認定看護師 飯沼 由紀恵さん

皆さんこんにちは。今回看護ブログを担当します、がん放射線療法看護認定看護師の飯沼由紀恵です。
 私は現在治療計画室という部署で勤務をしております。ここは放射線治療を受ける患者様やご家族が来られる外来です。当院では1日のべ約80~100人ほどの患者様が治療を受けられています。今回はその放射線治療に携わっているスタッフをご紹介したいと思います。
 まずは放射線治療医です。放射線治療を受けられる患者様やご家族へ治療の概要を説明し、治療期間中は定期的に診察をおこなっています。また、治療計画といって各患者様の治療する部位を撮影したCT画像などをもとに、どのように放射線をあてるのか、治療期間や線量を決定しています。この治療計画時には医学物理士という資格をもったスタッフも携わり、治療に伴う有害事象をできるだけ最小限にかつ効果的に治療できるよう、医師と共同しながら治療計画をおこなっています。
 次に診療放射線技師です。医師が作成した治療プランに基づいて治療装置を操作し実際に照射をおこなっています。当院では外照射をおこなう治療室が4部屋あり、11名の放射線技師が携わっています。また治療の質や治療精度の維持のため、定期的に治療機器などのチェックを医学物理士と共同しながらおこなっています。
 そして看護師です。治療計画室には私を含め2名の看護師が勤務しています。放射線治療に関するオリエンテーションをはじめ、治療に来られる患者様の体調や症状を確認し、症状に応じてケア方法を説明したり、患者様と一緒に考え実践をしています。
 このように放射線治療の現場では多職種のスタッフが連携して治療に携わっています。関わるスタッフ全員が治療を受ける患者様が安全に、そして治療を最後まで受けられるよう日々実践していますので、放射線治療に関することで何かありましたら気軽に声をかけていただければと思います。
 次回は、脳卒中リハビリテーション看護認定看護師の古谷桂子さんです。どんなお話が聞けるか楽しみです!

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  • 投稿日:2016.05.27 00:00

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